産業用配線の“困りごと”解決講座(第4回目)
2017/03/06
- Murrelektronik
砂川 裕樹
【困りごと、その2】設計・導入・作業・運用に至る全プロセスを改善し、さらにコストダウンを図るコツ
2回目と3回目は、特別編として弊社が出展した「JIMTOF2016」(日本国際工作機械見本市)のレポートをお届けしました。また今回からは元に戻り、ドイツ・Murrelektronik社の製品群について解説したいと思います。
さて初回は、Murrelektronik社の省配線ボックス「Exact12」を利用することで、ケーブルをコネクタ化し、産業用配線のトータルコストを削減できる点について解説しました。実はこの話には、まだ続きがあります。さらにMurrelektronik社は、省配線を推進する革新的なフィールドバスシステムとして、フレキシブルIP67 I/Oシステム・CUBE67を発売しているからです。
Exact12をご紹介した際に、工場内の工作機械やロボット、センサなど、自動化を支える産業用機器の電気配線コストに着目し、「設計から導入、作業、運用に至るプロセス全体で最適化を図り、最終的なトータルコストを下げることが重要である」と述べました。
もうこれ以上、部材費のコストを下げられなくても、各プロセスで「設計のしやすさ」「導入のしやすさ」「製造のコスト」「メンテナンス性」などを見直し、最終的なトータルコストの大幅削減につなげられるのであれば、当初の目的を達成できるわけです。そこで、今回ご提案したいのが、既存の大手フィールドバスを省配線化に最適なローカルバスに変換することで、システム全体の最適化を実現するフレキシブルIP67 I/Oシステム・CUBE67なのです。
Murrelektronik社のフレキシブルIP67 I/Oシステム・CUBE67。
バスノード(親機)とIOモジュール(子機)で構成。
ご存じの読者も多いと思いますが、フィールドバスは、工場現場で稼動する各種機器と、コントローラ間の信号のやり取りをシリアル通信で実現する規格のことです。一本のケーブルで、工場内の制御機器(PLCなど)を結び、その動作を指示したり、動作の状況などを相互にやり取りするための仕組みです。
このフィールドバスは、「DeviceNet」「PROFIBUS」「PROFINET」「EhterNet/IP」「EhterCAT」「CANopen」など、これまで多くの規格が各団体やメーカーによって定められてきました。Murrelektronik社のフレキシブルIP67 I/Oシステム・CUBE67は、これらの各種フィールドバスを変換する役割を担っています。いわば、現場に最も近いところで利用されるため、省配線化やコストダウン化に一番効いてくる部分なのです。
CUBE67の親機となるバスノードは、さまざまなフィールドバスに対応し、
CUBE67のローカルバスを変換するゲートウェイとしての役割を担う。
具体的にCUBE67は、バスノード(親機)とIOモジュール(子機)で構成されます。前者のバスノードは、別の表現をするとフィールドバスとローカルバス(CUBE67)を変換するためのゲートウェイとしての役割を持つ機器といえます。このバスノードにつながるのが後者のIOモジュールです。IOモジュールは、エッジ側のセンサやアクチュエータなどの信号を取り込み、ローカルバス(CUBE67)経由でバスノードへ信号を伝送する機器です。
親機のバスノードは、スター・トポロジーとして四方向に分岐できる構造になっています。正確にはポートは左右に2つずつ「セグメント1」と「セグメント2」に分かれています。
CUBE67のバスノードと各種IOモジュールの接続方法。
バスノードはスタートポロジー(4分岐)で、IOモジュールと接続。
IOモジュール同士はライン・トポロジーで接続できる。
この各セグメントに対して、IOモジュールを子機として16台まで接続することができます。IOモジュールはライン・トポロジーで数珠つなぎに接続できますが、各セグメントあたり最長30mまでの延長が可能です。
ケーブル長と接続されるIOモジュール数のルール。ケーブル長は各セグメントあたり最大30m。
バスノードにドロップされるIOモジュール数は、各セグメントあたり16個まで(バスノード全体で計32個)。
このフレキシブルIP67 I/Oシステム・CUBE67を導入することで、下記のように多くの効果を発揮できるようになるのです。
●コネクタ化による配線工数の削減
●制御盤内の省スペース化(IOユニットを盤外へ設置)
●IOユニットのモジュール化によるコスト削減
●自己診断機能による機械の可用性の向上
●現場における作業工程の標準化の推進
●Machine Options Management(MOM)機能
次回からは、これらCUBE67のメリットについて、さらに深堀していきたいと思います。
砂川 裕樹プロダクトマネージャー
Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。
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