食品製造ラインで使われるライン構成部品のトレンドとは?ゾーンに合った製品をご紹介!
2025/03/10
- セミナーサポート
近野 啓斗
食品業界はその名の通り食品の生産、加工、販売を行う企業の総称のことで、私たちの生活には欠かせない業界です。
食品は人々の体に取り込まれるものなので、特に衛生面での安全性は企画などでも厳しく取り決められています。
その規格は、食品を製造する機械で使われている部品などの選定にも影響します。
本記事では食品業界のうち特に食品製造業でのトレンドを挙げながら、食品製造ライン構成部品から見る課題とソリューションについて解説します。
【目次】
食品業界でのトレンド
衛生:ハイジェニックデザインの重要性
ダウンタイム:最小限に抑えるための対策
脱中央集中配線:分散型ネットワークのメリット
食品衛生に関わる規格と認証
弊社で扱う食品製造機械ライン向け製品をご紹介
食品工場ラインで使用できるケーブルの選定
各ゾーンに最適なLAPP社ケーブル
ハイジェニックデザインのケーブルアクセサリ
その他の食品製造機械で使用できる製品ラインナップ
食品業界でのトレンド
食品製造業界の動向ですが、「衛生」「ダウンタイム」「脱中央集中配線」という3つのキーワードが挙げられます。
衛生:ハイジェニックデザインの重要性
食品の安全性を確保するためには、衛生管理が最も重要な課題です。欧米では、清掃性・耐蝕性に配慮した「ハイジェニックデザイン」が注目されています。
「ハイジェニック(Hygenic)」とは英語で「衛生的な」などという意味があります。
食品工場は、食品を扱う領域によって3つのゾーンに分類されます。
食品ゾーン(Food Zone): 食品に直接触れる部分
スプラッシュゾーン(Splash Zone): 食品が飛沫する部分
非食品ゾーン(Non-Food Zone): 食品に触れない部分
各ゾーンに合わせた製品選びが重要です。
例えば、Food Zoneでは、耐腐食性・耐熱性・耐油性・耐水性に優れた素材が求められます。
角がある容器では、その部分に食品の残りカスが付着することがあります。
これが原因で細菌が発生し、衛生面で問題を引き起こすリスクがあります。
そこでアールをつけ、洗い流しやすくするといった設計がハイジェニックデザインになります。
ダウンタイム:最小限に抑えるための対策
センサーやケーブルなどの構成部品が故障すると製造ラインが停止します。製造ラインの停止は、生産性の低下に繋がります。
ダウンタイムを最小限に抑えるためには、耐久性や耐薬品性、IP保護等級の高い部材を使用する必要があります。
特に、食品を洗い流す際に使用する洗剤や化学薬品は、機械の寿命を短くする原因となり、ケーブルも劣化します。
また、食品から出るオーガニック油類も部材に影響を与える可能性があります。パッキンでシーリングする部分から漏れることもあるので注意しましょう。
飴やハチミツなど粘度の高い食品は、残りカスを取り除くのが難しいため、低温度で固形化してから取り除く方法も用いられています。
いずれにしても、耐久性・耐薬品性のある部材を採用した製品が求められます。
脱中央集中配線:分散型ネットワークのメリット
従来のスター型の中央集中配線では、エッジ部のセンサーやアクチュエータが故障すると、そのライン全体が使用できなくなります。
一方、分散型ネットワークでは、一部が故障してもその部分のみを交換すればよく、ケーブルも無駄になりません。
メンテナンスも容易で、リカバリーも早くなるため、ダウンタイムの短縮に繋がります。
ネットワークトポロジー。機械のケーブル類の取り回しには、中央集中型だと故障時にメンテンスが面倒。分散型のほうが良い。
一方、分散型ならば、どこが一部壊れたとしても、その部分のみを散り換えればよく、ケーブルも無駄になりませんし、メンテナンスも容易で、リカバリーも早くなるため、ダウンタイムの時間を短縮化につながります。
食品衛生に関わる規格と認証
海外に食品製造機械などを輸出する場合は、その国で定められた規格に準拠する必要があります。有名な規格としては、国際規格「ISO」のほか、欧州規格「EN」、ドイツでは「DIN」などがあります。たとえばENでは、食品加工機械の基本要項としてEN-1672-2 、DINでは機械設計の衛生要項としてDIN ISO 14159が策定されています。
食品衛生にまつわる主な規格。海外に食品製造機械などを輸出する場合に重要になるので押さえておきたい。
米国では、オバマ大統領のころに「FSMA」(The FDA Food Safety Modernization Act)が成立し、すべての関係者に衛生への注意を促しています。
認証登録があるロゴ付きの製品を選ぶことも重要です。有名な認証機関としては、前出の欧州のEHEDGは、自ら試験規格を策定し、認証・トレーニングを実施しています。EHEDGの米国版としては「3-A Sanitary Standard」があります【★写真6】。ほかにも米国では「FDA」(U.S. FOOD & DRUG ADMINISTRATION)やNSF(National Science Foundation)、民間団体としては洗剤メーカーの「ECOLAB」の認証などが有名です。
弊社で扱う食品製造機械ライン向け製品をご紹介
弊社では食品製造機械ラインでご使用いただける製品を多数取り扱っております。ここからはその一部をご紹介します!
食品工場ラインで使用できるケーブルの選定
食品工場ラインのゾーンは、食品に触れるか触れないかによって3つに分類されていると先述しましたが、その環境によってゾーンごとに求められる性質が異なります。
食品ゾーン(Food Zone): 耐腐食性・耐熱性・耐油性・耐水性が求められる
スプラッシュゾーン(Splash Zone): 耐水性・耐薬性・耐油性・耐腐食性が求められる
非食品ゾーン(Non-Food Zone): 耐水性や耐薬品性が必要
各ゾーンに最適なLAPP社ケーブル
各ゾーンに最適なケーブルを選ぶことが重要です。
弊社では各ゾーンでご使用いただけるケーブルを取り扱っています。
食品製造機械用のケーブルとして「OLFLEX CLASSICシリーズ」を用意し、汎用性、耐油性に優れた各種動力・制御ケーブルを取り揃えています。
ドイツの代表的なケーブルメーカー、LAPP社の製品。食品製造機械で利用できる「OLFLEX CLASSICシリーズ」 を用意
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外皮の材質はPVC、PURなどで、UL規格のほか、前編で触れた「ECOLAB認定」の製品などもあります。固定部・可動部・EMC対策済など用途に合わせて選択できます。
さらにLAPP社の製品で紹介したいのが、動力・制御ケーブルの「OLFLEX ROBUSTシリーズ」と「OLFLEX HEATシリーズ」です。
「OLFLEX ROBUSTシリーズ」はFood Zoneに適用できる最強のケーブル。「OLFLEX HEATシリーズ」は瞬間1565℃まで対応。
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特にROBUSTシリーズは、衛生管理が求められる食品の製造ラインに最適なケーブルです。LAPP独自の高耐久性の外皮(TPE)を採用し、耐薬品性・耐食性・耐水性はもちろん、汚れの堆積も抑制してくれます。使用温度範囲が広い点も見逃せないところです。固定用の場合には−50℃〜+110℃まで耐えられるので、冷凍や蒸気が発生する環境にも対応します。またジェット洗浄も可能です。
一方、HEATシリーズは、特に高温環境に耐えられる専用ケーブルで、Non-Food Zoneで使えます。外皮にシリコン、グラスファイバー、PTFEの材質を揃え、瞬間で最高1565℃まで耐えられるケーブルもあります。食品製造のオーブンなどに適用できます。
ハイジェニックデザインのケーブルアクセサリ
ケーブルグランドなどのアクセサリも、ハイジェニックデザインである必要があります。同じくLAPP製品ですが、食品のカスが付きにくいハイジェニックデザインの金属製ケーブルグランド「SKINTOP HYGENICシリーズ」があります。これは「EHEDG」「FDA」「ECOLAB」の認証を取得し、耐水性もIP69Kまで対応。内部シーリングはブルーカラーで、食品ラインに紛れ込んでも判別できる色を使っています【★写真4】。
ハイジェニックデザインの金属製ケーブルグランド「SKINTOP HYGENICシリーズ」とECOLAB認定の「SKINDICHT」なども用意
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またECOLABだけでよい場合には「SKINDICHT」を選択できます。こちらは+200℃までの高温で使えます。
逆に低温には−70℃まで対応可能な「SKINTOP COLD/COLD-R」も用意。このほか同社では、ブルーの食品専用コンジットチューブや、ステンレス製の角形コネクターなども扱っています。
EU圏で丸形コネクターのOEM元として知られるドイツ・Binder社でも、食品製造ラインに使える製品を用意しています。
たとえば、電源用の防水コネクター「693シリーズ」は、IP67に対応し、Non-Food Zoneで使えます。
ドイツ・Binder社の電源用の防水コネクター「693シリーズ」。定格250V~400V・10A~16A。UL、VDE、SEV規格取得済。
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樹脂製品が得意なドイツのMurrplastik社では、食品製造ライン用のケーブルエントリーやフレキシブルチューブなどを揃えています。
ケーブルエントリーは、ケーブルグランドが多数まとめられた製品です。
「KDP on demand」は、穴数や保護等級(IP69K)、SUS製など、ニーズに合った仕様でカスタマイズが可能です。
ドイツ・Murrplastik社は、食品製造ライン用のケーブルエントリーシステムなどを用意。ニーズに合ったカスタマイズが可能。
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その他の食品製造機械で使用できる製品ラインナップ
ケーブル以外にも、食品製造ラインで使用できる様々な製品があります。食品製造ラインでは、透明な飲料やフィルムを扱う場合があります。ラインに流れる透明なペットボトルやフィルムを正確にカウントできる便利なUVセンサ「TUR-C23」を製造しているのがスイス・CONTRINEX社です。
スイス・CONTRINEX社のUVセンサ「TUR-C23」。透明な物体は検出しにくいが、この近接センサーなら正確にカウントが可能
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UV(紫外線)を照射し、その反射から物体を検出する仕組みで、高い検出能力を有しています。ECOLAB認証を取得済で、②Splash ZoneやNon-ood Zoneで使用できます。センサーのI/FとしてIO-LINKにも対応しています。
また耐薬品性があり、機械の洗浄に対応できる金属検知用近接センサー「700Lシリーズ」も取り扱っています。Mねじ取り付けで、アルミと鉄を同距離から検出でき、機械設計がラクになります。
保護等級はIP68またはIP69Kで、高圧洗浄にも耐えられます。これも前製品と同様に、ECOLAB認証やIO-LINKにも対応しています。
金属検知用近接センサー「700Lシリーズ」。耐薬品性があり、機械の洗浄に対応。アルミと鉄を同距離から検出できる点が秀逸。
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ドイツ・Murrelektronik社の製品で締め括りたいと思います。同社はIoT関連の制御機器(PLCなど)とエッジ側のセンサ/アクチュエータなどを接続できる製品を中心に発売しています。
前編で触れた中央集中型ネットワークを分散型ネットワークに変換することができる「MVP12 STEEL」は、食品プロセスに近い箇所に設置し、個別のセンサーなどを1本のホームLANケーブルに置き換えられます。
ケーブル長を最短化し、端子台も不要になるので、構成がすっきりします。材質はステンレス製で、IP69Kまで対応でき、ジェット洗浄も可能です。
ドイツ・Murrelektronik社の「MVP12 STEEL」。分散型ネットワークに変換できるハブのような装置。ジェット洗浄も可能。
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Leuze社では食品の梱包ラインに使用できるセンサを幅広く取り扱っています。
その中でもHT53Cシリーズは、ソーセージやチーズなど、棒状の食品をカットする際に製品の挿入部分で製品を検出し、均一にスライスできるようにすることで食品の無駄を省くことができます。
この製品もハイジェニックデザインを採用しており、IP69K適合で洗浄が必要な環境でも安全に使用することができます。
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まとめ
食品製造ラインでは衛生問題やフードロス問題などと背中合わせであるからこそ、製品選定が重要になります。適切な製品選びをして、安全に製品を使用しましょ
今回ご紹介した製品について、さらに詳しい情報をお求めの方はinfo@kmecs-automation.jp までご連絡ください。
今回ご紹介した食品業界資料は |
近野 啓斗
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