【連載】産業用配線の“困りごと”解決講座 (特別篇~JIMTOF2016展示レポートその2)
2017/01/30
- Murrelektronik
砂川 裕樹
ケーメックスの総合力を示す展示、3つのポイントとは?
前回の記事
https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_11.html
前回に引き続き、弊社が昨年に出展した「JIMTOF2016」(日本国際工作機械見本市)の内容について紹介します。この展示会では、「ケーメックスがご提案できるIoT化とは何か?」という具体例を示すために、ドイツ・Murrelektronik社の「CUBE67」を中心に、主要サプライヤーの製品を総合的に組み合わせたデモを実施しました。
昨年開催された「JIMTOF2016」の弊社ブース。多くの来場者が見学に訪れた。
デモンストレーションのポイントは以下の3つです。
Murrelektronik社の「CUBE67」を中心に、主要サプライヤーの製品を総合的に組み合わせたデモを実施。
【1】省配線で工数を削減できること
Murrelektronik社のIP67防水リモートI/Oステーション「CUBE67」や、コネクタ中継ボックス(M12/M8コネクタ)を活用し、制御盤との接続を多心ケーブル1本にまとめて省配線を行いました。これらの詳細については次回で詳しくご説明します。
【2】自動で段取替えが可能なこと
今回のデモでは、CUBE67の配下に9つのIOモジュールが接続されていました。これをフルオプションとした場合、ユーザーによっては、その中のどれかのIOモジュールを接続したいという御要望があるかもしれません。その場合、従来であれば、もう一度コンフィギュレーションをやり直す必要がありました。
しかし、それでは工作機などで段取替えをする際に面倒になります。そこで、すべてのモジュールをあらかじめ設定しておき、ファナックのCNCコントローラなどから、CUBE67を介して各IOモジュールの有効/無効を指示できる機能を追加しました(レジスタのフラグを立てると簡単に無効化できる)。
Murrelektronik社では、この機能を「MOM」(Machine Option Management)と呼んでいます。他社にない差別化のポイントとして、今回の展示でお客様の反応が特に良かった機能のひとつでした。
【3】故障予測が行えること
通常、センサはオン/オフのデジタル信号や、アナログ信号の情報を取ってます。アナログ信号の場合、あるデータ値に対して100%の値でだけでなく、80%の値も設定できます。もし経時変化によって、ワークの距離が80%に達したら、もうすぐ干渉してしまう可能性があるため、この時点でアラートを投げて、危険を回避できるようになります。
また温度についても、これまで記憶しておいた周囲の最高温度に対して、80%以上になった場合に、異常を検知してアラートを投げられます。しっかりとデータを取っておけば、「このまま使い続けた際に、あと何時間で故障するか?」といった分析にも役立てられるでしょう。IoT化したスマート工場の足掛かりとなるシステムを構築できるわけです。
これは、次にご説明する「IO-LINK」に対応したセンサによっても実現できます。ちなみに弊社が扱うスイス・CONTRINEX社のセンサは、すべてIO-LINKに対応しています【★写真3】。
スイス・CONTRINEX社の各種センサ類も取り扱いをスタート。IO-LINKに対応したセンサです。
要注目! CUBE67の新機能として「IO-LINK」にも対応
これらの3つのポイントに加えて、さらに重要な点が2点あります。まずCUBE67の自己診断機能です。たとえばIOモジュールのどこかがショートしてしまったとき、その情報をCUBE67が認識し、ファナックのCNCコントローラのモニタなどに表示させることが可能です。
特に重宝な点は、たとえば「短絡」というような故障の内容だけでなく、どのIOモジュールの、どの場所でトラブルが起きているのか、ブランチ番号、スロット番号、チャネル番号などで特定できるのです。これにより現場で何か起きても迅速に対応でき、ラインのダウンタイムを最小限に食い止められます。
CUBE67は、これまでPROFIBUS・PROFINET・EtherNet/IP・DeviceNet・EtherCAT・CANopenなど、上位の各種フィールドバスに対応してきました。さらに今年6月には新たにIO-Linkにも対応する予定です。IO-Linkは、下位ネットワークにあるセンサや産業用ロボット(アクチュエータ)との通信に使用するP2Pシリアル通信プロトコルで、インダストリアルIoT化のなかで脚光を浴びているバスです。
このIO-LINKは、欧州のセンサメーカーやPLCメーカーが集まり、センサのプラグ&プレイ機能、メーカー特有のプロトコルを共通化するために開発されたものです。従来のプロトコルとは異なり、双方向通信でデバイスのパラメータを細かく設定したり、メンテナンスを自動化でき、PLCのプログラミングも大幅に簡易化されます。
今回のデモでは、IO-LINKマスタV1.04デバイスを置き、IO-LINKに対応する複数のセンサを接続しました。
CUBE67の配下に、12chマルチファンクション・IO-LINKマスタV1.04デバイスを設置したデモ。双方向通信で細かい設定が可能に。
2016年現在、IO-Link協会に加盟する企業はグローバルで120社以上あり、360万台を超えるIO-Linkが機器に実装されています。大手自動車メーカーも、EtherCATやIO-Link機器の採用を表明しています。今後もIO-LINKに準拠した機器が続々と登場することが予想されますから、要注目の追加機能といえるでしょう。
砂川 裕樹プロダクトマネージャー
Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。
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