ロボットに使われるケーブル保護システムを学ぼう! その2~協調用ロボットに必須のキットとは?
2022/06/13
- セミナーサポート
- Murrplastik
増田 将吾
前回 はロボットのケーブルアクセサリーの簡単な紹介と、さまざま業界で導入されているロボットの基礎を解説しました。
前回の知識を踏まえながら、第2回からロボットで威力を発揮するケーブル保護システムの内容について解説します。
【目次】
協調用ロボットの概況と、利用に役立つ周辺機器のバリエーション
murrplastik社が提供する協調ロボット用のケーブル保護システム
■標準タイプ
■ワンタッチ取り付けタイプ
■簡易タイプ
■スプリングタイプ
協調用ロボットの概況と、利用に役立つ周辺機器のバリエーション
まず協調用ロボットの概況について触れたいと思います。近年、協調用ロボットの売上が伸びています。
この分野ではデンマークのユニバーサル・ロボット社(以下、UR社)などが有名ですが、日本でも安川電機、ファナック、川崎重工、不二越、三菱電機、オムロン、デンソーウェーブなど、ほぼすべての国内ロボットメーカーが協調ロボット分野に参入しています。
協調ロボットには、双腕や片腕といった複数の種類がありますが、関連するロボットとして無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)との連携もあります。
これは、移動できる無人台車の上に多軸ロボットアームを取り付けたもので、いち早くドイツのKUKA社が市場に投入しました。
こういったAGVとロボットアームの連携では、ロボットアームのバッテリーをDC電源化する動きあります。
なぜならAGV自体がDC24~48Vのバッテリーで動いていることが多いため、AC100~240Vで稼働するロボットアームを動かすためにインバータを使用すると、AGV自体が大きくなってしまうためです。
そこで、前出のUR社はDC電源(バッテリー)で動く協調ロボットを投入しています。
国内でも多くのメーカーで、同様にDC駆動の垂直多関節ロボットを発表しています。
このように、さまざまな協調用ロボットが市場に出回るようになると、周辺機器のニーズも高まります。
UR社は、開発者プログラムのなかで「Universal Robots+」のなかで周辺機器各社がUR社のロボットに対応するエンドエフェクタやセンサー、カメラなどを販売できるWebを公開しています。
スマートフォンのアプリのようなイメージで周辺機器を購入することができるのです。
murrplastik社が提供する協調ロボット用のケーブル保護システム
そこで今回、ロボット周辺機器の1つとしてご紹介したいのが、弊社で取り扱うドイツ・murrplastik社のケーブル保護システム「Robotic-Kit for cable protection」です。
本製品はUR社を始め、米国、ドイツ、台湾、韓国などのロボットメーカーでも採用されています。
murrplastik社のケーブル保護システム「Robotic-Kit for cable protection」。ハーネス済のケーブルを簡単に取り付けられる。
日本国内では、弊社が代理店となり、すでにオムロンや三菱電機、安川電機、ファナックといった大手メーカーでご採用いただいております。
取り付け易さや、手ごろな価格、UR社での実績が評価されたからです。
以下、協調ロボット用のケーブル保護システムについて触れたいと思います。
この保護システムには、それぞれタイプがあります。
すべてのタイプに共通ですが、ケーブル類を保護するために通すコンジットチューブには、横にスリットが入っているため、コネクタなどハーネス済のケーブルでも、冶具をつかながら簡単に取り付けられるという大きな特徴があります。
標準タイプ(SHセット)
標準タイプでは、ロボットアームに沿ってコンジットチューブを取り付けますが、その際に専用ホルダー(ストレインリリーフ)をアームの部分にベルクロテープで装着し、このホルダーにコンジットチューブを通すという仕組みです。
標準タイプ。ケーブルを固定できる専用ホルダーをアームに装着。コンジットを回転方向に緩く動かせる構造。またアキシャル方向をフリーにするオプションも用意。
ちなみにコンジットチューブはホルダーに直接固定せず、ファストニングエレメントのカラーにコンジットチューブを入れてホルダーに挟む形にします。
コンジットチューブはカラーとのあいだにアソビができ、回転方向に緩く動きます。
ロボットアームが捻転しても、テンションが掛からない構造です。またアキシャル方向(上下方向)にチューブを動かせる専用ファストニングエレメントもオプションで用意しています。
ワンタッチ取り付けタイプ(UHEセット)
次にワンタッチ取り付けタイプのほうは、標準タイプと基本構成は同様ですが、少しグレードが落ちます。
ワンピースホルダー(標準タイプのようにカラーはありません)にスリット入りのコンジットチューブをワンタッチで挟み、面ファスナーでロボットアームに取り付けるだけで簡単に利用できます。
ワンタッチ取り付けタイプ。コンジットチューブをパチンとワンタッチで専用ワンピースホルダーにハメ込み、ファスナーでロボットに手軽なの取り付けが可能。
簡易タイプ(Cセット)
さらに簡易タイプは、ホルダー自体がなく、コンジットチューブを面ファスナーでロボットアームに直接取り付けます。
シンプルな方法による取り付けのため、既存のコンジットチューブ、あるいは他社製のコンジットチューブでも取り付けられるというメリットがあります。
シンプルな簡易タイプ。コンジットチューブを、面ファスナーでロボットアームに這うような形で直接取り付けられる。他社のコンジットチューブやホースなどにも対応。
スプリングタイプ(RSセット)
このほかにハイグレードのスプリングタイプもあります。
バネ機構を採用しており、ロボットの姿勢に伴って、コンジットチューブを最大150mmの伸縮できる。ロボットアームが動いたときの衝撃を吸収し、ケーブルの長寿命化や保護が可能になります。
ハイグレードのスプリングタイプ。ロボットの姿勢に伴って、バネ機構でコンジットチューブを最大150mmの伸縮が可能。稼働時に衝撃を吸収し、ケーブルをしっかり保護。
スプリングタイプのバネ機構が伸びている様子。
スプリングタイプのバネ機構が縮んでいる様子。
これら基本キットのほかに、ロボットの使用環境に合わせて、各種アクセサリーも用意しています。
その他、ロボットの用途に合わせて各種アクセサリーを用意。
クリーンルームで使うステンレス製結束バンド、塗装で使うシリコンフリー結束バンド、溶接時の火の粉からコンジットチューブを守るヒートプロテクタなどもある。
たとえば半導体製造など、クリーンルームでロボットを使う場合は、粉塵が出るベルクロテープや布製テープで取り付けられませんので、ステンレス製結束バンドを使います。
また塗装用ロボットの場合は、シリコンフリーの結束バンドを使います。
一方、溶接ロボットでは、火の粉が飛ぶことがあるため、コンジットチューブを守るヒートプロテクタが用意されています。
次回は産業用ロボットのケーブル保護システムについてご紹介する予定です。
今回ご紹介した「ケーブル保護システム」の |
増田 将吾プロダクトマネージャー
主にMurrplastikやBinderを担当しています。
ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。
週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。
関連製品
-
Robotic-Kit オムロン社協働ロボット「TMシリーズ」用途
-
Robotic-Kit ファナック社協働ロボット「CRXシリーズ」用途
-
Robotic-Kit 安川電機協働ロボット「MOTOMAN-HC10DTPシリーズ」用途
-
Robotic-Kit ユニバーサルロボット社協働ロボット「URシリーズ」用途
-
Robotic-Kit 三菱電機社協働ロボット「ASSISTAシリーズ」用途
関連カテゴリ
新着記事
-
2024/11/08
-
2024/11/08
-
2024/11/08
-
2024/11/08
-
2024/10/25