ロボットに使われるケーブルマネジメントシステムとは? その1~まずはロボットの基礎から学ぼう!
2022/05/17
- セミナーサポート
増田 将吾
【目次】
ロボット用のケーブルマネジメントシステムの役割とは?
産業用ロボットの基本と最新の出荷動向
産業用ロボットの利用シーンと具体的な種類とは?
■溶接ロボット
■塗装ロボット
■仕上げロボット
■組立ロボット
■マテハンロボット
ロボット用のケーブルマネジメントシステムの役割とは?
今回から3回にわたり、弊社が総代理店を務めるMurrplastik社のケーブルマネジメントシステムについてご紹介していきます。
ケーブルマネジメントシステムは、ロボットの外側にむき出して配線されるケーブル類(ネットワークケーブルやカメラの映像ケーブル、エアーチューブなど)を保護する目的で用いられるアクセサリです。
ロボットが動くとき、たとえば何かに接触し、ケーブルを傷つけてしてしまったり、ケーブルがねじれたり、絡まってしまうことがあります。そこで従来まではロボットにダクト(コンジットチューブ)を取り付けて、外付けケーブルを通して保護していました。
ただし、コンジットチューブは見た目が悪く、ハーネスケーブルを通せないといった欠点がありました。そこでMurrplastik社では、ロボットに最適なケーブルアクセサリとして、これらの課題を解決するケーブルマネジメントシステム「Robotic-Kit」を発売しています。
この製品は、ロボットの種類によって大別されています。そこで、まず今回はロボットの基礎について学び、2回目と3回目のコラムで具体的なケーブルマネジメントシステムについて詳しく解説したいと思います。
産業用ロボットの基本と最新の出荷動向
最初に「ロボット」という言葉が有名になったのは、米国のSF作家であるアイザック・アシモフが1942年に書いた小説のなかで「ロボット3原則」を提案してからでしょう。アシモフは「ロボットは人を傷つけてはならない」「ロボットは人間の命令に従わなければならない」「ロボットは自己を存続しつづけなければならない」という3原則を定義しました。
それから80年が経ち、私たちの生活にロボットが普及するようになりました。いま最も活躍しているのは、自動車メーカーなどを中心とする「産業用ロボット」です。ほかにも人をサポートする介護ロボットや、お掃除ロボット、災害現場で働くロボットなど、非産業分野で利用される「サービスロボット」も登場しています。
最近では、産業用とサービス用の中間に位置し、安全柵がなく、人と同じ空間で稼働できる「協調ロボット」も活躍するようになりました。今後は国内外のメーカーが、この分野でシェアを伸ばすでしょう。2021年の市場規模は約1000億円ですが、2025年には4000億円に伸びると予想されています。また協調ロボットにより、多品種少量生産/変種変量生産も実現できます。
産業用ロボットの業種別出荷台数は次の通りです。出荷台数が最も多いのは、やはり自動車業界で全体の33.2%を占め、次に電子・電子機械業界が31.7%、プラスチック製品業界が8.7%と続きます。ほかにも食品・化粧品・医薬品といった三品業界でも利用が進んできました。
また用途別の出荷台数は、自動車製造で使われる溶接用が35%、物流・搬送のマテリアルハンドリング(マテハン)用が20.6%、機械部品の組立用が19%で、国内外で同様の傾向を示しています。
産業用ロボットの利用シーンと具体的な種類とは?
ここから自動車の製造工程における産業用ロボットを見ていきましょう。自動車製造は、車輛を中心とした工程と、ユニットの組付け工程に大別されます。
車輛製造では、部材のプレスや樹脂成型、ボディ組付け、塗装、組立という工程で、搬送、バリ取り/研磨、スポット溶接、塗装、組立を担当する各種ロボットが使われます。一方、ユニット製造では、鋳造・鍛造・焼結、プレス・接合、機械加工・組付と言う工程で、給湯、アーク溶接、加工・組付といったロボットが使われます。
以下、具体的なロボットの種類について簡単に説明します。
溶接ロボット
自動車業界を中心に、一番早く普及したのが、過酷な労働環境から解放してくれる溶接ロボットです。薄板部材を点で圧接するスポット溶接用と、強度が求められる厚板を線で融接するアーク溶接用のロボットがあります。いずれも溶接のための安定化電源が重要になります。
塗装ロボット
次に普及したのが塗装ロボットです。溶接ロボットが、点や線で動きを制御していたのに対し、塗装ロボットは面で2次元的に動きを制御し、ムラなく色を塗る必要があります。塗料が可燃性溶剤の場合は引火の危険があるため、ロボットを防爆仕様にする必要があります。最近では、小さな電気・電子部品の塗装にも利用されるようになってきました。
仕上げロボット
バリ取りや研磨などの細かい作業を行う仕上げロボットは、より高度な制御が求められます。たとえば、部材に押し付ける力をコントロールするために「力覚センサ」を取り付けて、力をフィードバックしながら、最適な加減で作業できるようにしています。最近ではカメラと連動させ、ワークを把持しながら研磨機に押し付けて、微妙な作業ができるようになってきました。
組立ロボット
自動車の複雑な組み立て工程で、人とロボットが協調して作業ができます。たとえば自動車のウインドーガラスの据え付けや、スペアタイヤの取り付けなど、艤装工程で活躍しています。
マテハンロボット
移送・搬送用のマテハンロボットは、生産ライン工程間の製造物を移送します。最近は、積み卸しを効率化するために、どのようにハンドリングするのが最適かをAIで判断することも可能になりました。作業内容により、パレタイジング、デパレタイジング、パッケージングなどのロボットがあります。
最後に機能別・可動域別で分類した産業用ロボットについても、以下にようにまとめてみました。
6軸の垂直多関節ロボットは、人間のようなアーム型で、自由度が高く、可動域も球状で広いことが特徴です。一方、水平多関節のスカラーロボットは、可動域が円筒状で、電子・電気機器の組立てに多用されています。大手メーカーがスカラーロボットを拡充しており、電子部品の実装などで、活用範囲や自動化のニーズに応えるトータルソリューションを展開しています。
また直角座標型のガントリーロボットは、可動域が立て方向で、単純なワーク移送に用いられます。また少しユニークなものとして、デルタ型のロボットもあります。これは「ゲンコツロボット」とも呼ばれ、パラレルリンク機構で、小型・軽量な部品や食品などの高速搬送が可能です。
増田 将吾プロダクトマネージャー
主にMurrplastikやBinderを担当しています。
ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。
週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。
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