産業用配線の“困りごと”解決講座(第13回目)【特別篇】ドイツの展示会「SPS IPC DRIVES 2017」で発表されたMurrelektronik社の新製品を大紹介!(IO-Link篇)その2

2018/03/05

  • Murrelektronik

砂川 裕樹

マルチプロトコル対応のIO-Link用リモートIOが発売!

前回は、特別篇としてドイツの展示会「SPS IPC DRIVES 2017」で発表されたMurrelektronik社の新製品として、需要が急増するEthernet/IP(IO-Link)対応スタンドアローン型DIO IOLマスタデバイス「IMPACT67 E DIO IOL」についてご紹介しました。今回も同様にIO-Link篇その2をお届けします。

前回の復習ですが、IMPACT67 E DIO IOLは、4ポートのIOLマスタデバイスを備え、IO-Link対応機器のスマートセンサを接続したり、あるいはIO-Linkセンサハブを接続することで、一つのポートに最大16個のデジタルIOを集約することができる装置でした。

そして今回、新たにご紹介したいのがコンパクトモジュールの「SOLID67シリーズ」【★写真1】です。このSOLID67も上位フィールバスをIO-Linkに変換するスタンドアローン型のマスターモジュールで、IMPACT67と同様の機能があります。そのため前回ご紹介したように、デジタルIOの増設や、非接触でIO-Link通信を可能にするリモートカプラなどを活用することも可能です。

【★写真1】「SOLID67」の外観。スタンドアローン型DIO IOLマスタデバイス「IMPACT67」と同様の機能をもつが、マルチプロトコルに対応。


IMPACT67との大きな違いはというと、SOLID67がマルチプロトコル対応になっていることです。IMPACT67のように、プロトコルごとにEthernet/IP対応、あるいはProfinet対応という製品に分けられているのではなく、1台で両プロトコルに対応できる点が大きなメリットです。

一般的にヨーロッパ向け製品はProfinetが多く、北米向け製品はEthernet/IPが多いのですが、SOLID67を採用すれば、いずれの製品にも利用できるわけです。たとえば、海外向けに組込み製品を出荷する際、I/Oまわりを変えずに装置を構成しておき、SOLID67側のロータリースイッチを切り替えるだけで、必要なプロトコルに変換できるため、製品の在庫管理もシンプルになります。

またSOLID67には、IMPACT67にはない特徴があります。それは8ポートすべてがIO-Linkに対応する製品を用意していることです。(ちなみにIMPACTは、IO-Link×4ポート、もしくはIO-Link×2ポート)。SOLID67では、1つのモジュールによって、IO-Linkデバイスの接続だけでなく、従来のデジタル、アナログ、シリアルなど、多様なタイプの入出力信号を取り込めます(異なるDIO構成とIO-Link構成による6種の製品を用意しています)。

 

従来のアナログセンサをIO-Linkにダイレクト接続できるコンバータも!

さらに今回、もう1つご紹介したい製品が、IO-Linkアナログコンバータです。従来のアナログセンサからアナログ信号を取り込む際に、伝送ケーブルが長いとノイズが乗ってしまうことがありました。そのため、できるだけセンサ側でアナログ信号をノイズに比較的強いデジタル信号に変換して(AD変換)、ノイズを防ぐ工夫が必要です。

そういった問題もあり今回リリースされたのが、従来のアナログ信号もIO-Linkに対応するようにデジタル変換する、このIO-Linkアナログコンバータなのです【★写真2】【★写真3】。

【★写真2】IO-Linkアナログコンバータの外観。従来のアナログ出力センサ信号などをデジタル信号に変換し、IO-Linkに対応させることが可能。

 

【★写真3】アナログセンサとIO-Linkアナログコンバータを接続したところ。コネクタに挿すだけ。プラグ&プレイで簡単に利用できる。


現在市販で出回っているA/D変換用のアナログモジュールを使うこともできますが、これらは標準で4ch対応が多いと思います。しかし、4chも必要がない、とりあえずピンポイントで利用したいというご要望もあるでしょう。このIO-Linkアナログコンバータは1ch対応のため、余計なコストもかからずに済みます。

たとえば入力電流が4~20mタイプは、分解能は16ビットで、ハイレゾリューションで信号を伝送できます。この製品を使うことで、わざわざセンサ側をIO-Link対応品に置き換えることなく、従来の実績のあるアナログセンサをIO-Linkポートで取り込むことができるようになります。

IO-Linkアナログコンバータは、アナログ入力(AD変換)/出力(DA変換)の2タイプがあり、パラメータの変更によって、電流(0~20mA、4~20mA)と電圧(0~10V、-10±10V)を選択できるマルチ信号対応タイプのほか、個々の電流/電圧に対応するプリセットタイプをご用意しています。

次回からは、CUBR67の分散制御システムや、食品業界に対応するCUBE67 Hygienicデザイン品などについて話をする予定です。

 

 

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砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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