サーキットブレーカとサーキットプロテクタの違い
2024/12/01
- Murrelektronik
砂川 裕樹
過電流を遮断する装置として利用されるサーキットプロテクタとサーキットブレーカ。
この記事ではサーキットプロテクタとサーキットブレーカの違いやサーキットプロテクタの役割を紹介します!
【目次】
サーキットプロテクタ(CP)とサーキットブレーカの違いとは?
サーキットプロテクタの役割とは?
電子式サーキットプロテクタを選択するメリット
弊社がご提案する電子式サーキットプロテクタ MICOについて
サーキットプロテクタ(CP)とサーキットブレーカの違いとは?
サーキットブレーカーは配線用遮断器とも呼ばれ、記号ではMCBもしくはMCCBとあらわします。
主な働きは、短絡(ショート)や過負荷による、配線(電線)上の過電流発生からおこる事故を防ぐことです。
サーキットプロテクタは電路より電気機器の保護を目的としており、配線用遮断器(MCCB)では保護されない低容量の制御回路やモータ、電子回路などの保護に使用されます。
両方とも、主な働きは、短絡(ショート)や過負荷による、配線(電線)上の過電流発生からおこる事故を防ぐことです。
制御盤や配電盤においては、下の図のように、回路内の設置位置で考えることもできます。
スイッチング電源の一次側(AC系統)は基本的に危険な大電流を扱うため、接点の大きなブレーカーが使われます。
ブレーカーは大電流用のため、低容量の制御回路、ヒーター、モータ、電磁弁、トランス、電子回路などの保護には向いていません。
一方、二次側(DC24V系統)は比較的安全な小さい電流を扱うため、小さい電流でも反応できるものとしてサーキットプロテクタが利用されます。
サイズもより小型なので装置や制御盤等の各種制御回路の省スペース化が図れます。
注意:
ただし、CPが低用量のACの負荷の保護のために使われることもありますので、サーキットプロテクタ=絶対DC24V、というわけではないことはご留意ください。
サーキットプロテクタの役割とは?
サーキットプロテクタは、さまざまな機器の回路やデバイスを過電流から守る装置です。
一般的に広く使われているのは、電磁誘導による電磁力と、メカ的な機構を組み合わせた仕組みの電磁式サーキットプロテクタです。
電磁式サーキットプロテクタは、それぞれのサーキットプロテクタに定められた定格電流値を超える電流が流れると、電磁コイルに発生する磁力を受けて引き外し動作を行います。
この時、定格電流値を超える電流が流れてから引き外し動作完了までにかかる時間によって、瞬時形、中速形、低速形と複数の種類があり、負荷側の機器の特性に合わせた選定をします。
例えば瞬時形は引き外し動作が速いため、過電流大量が小さいサイリスタやダイオードなどの半導体素子の保護に向いており、低速形は引き外し動作が遅いため、モータや電磁弁など電源ON時の突入電流による不必要な動作を避けるため、あえてゆっくり動作する低速形が向いています。
その間の中速形は、大きな過電流が流れない負荷機器群の各種の制御回路に向いており、広く産業機械の制御盤内で使われています。
ただ、瞬時形も中速形も低速形も万能ではないため、以下の表のとおりそれぞれの長所短所を理解したうえで、適材適所で使っていくことになります。
そのため、弊社で電気設計士の方からよく聞く声が、
・「この負荷回路に瞬時形を選ぶと、突入電流でミストリップしないだろうか?データシートで詳しく見ないといけない…」
・「この回路はループインピーダンス(抵抗値)どれくらいか?仮に末端で短絡が起きたらどのくらいの短絡電流が流れるのか?」
・「突入電流を考慮して低速形を選定したが、果たして短絡したときにCPは守ってくれるだろうか?」
・「せっかく苦労して選定したのに、組み立て中にケーブル長が変わってまた一から計算しなおし…」
この記事をご覧の皆様もこういったお悩みを感じたことはありませんでしょうか?
電子式サーキットプロテクタを選択するメリット
弊社では、上記で説明してきた電磁式サーキットプロテクタでの悩みを解決する、電子式サーキットプロテクタをご提案しております。
電子式サーキットプロテクタの引き外し動作は物理的接点のないMOSFETトランジスタを用いて電子的に行われます。
<MOSFETについて>
トランジスタは小型のスイッチとして様々な機器に数多く利用されていますが、中でもMOSFETはスイッチング速度の速さ、リーク電流の少なさ、小型化の容易さなどから、今では数多くの回路に不可欠な存在となっています。
電子式サーキットプロテクタは、電磁式サーキットプロテクタと比較すると下記の点で優れています。
- 電磁式サーキットプロテクタのように瞬時形、中速形、低速形のように遮断特性に応じて分けられていないので選定が楽。
- 短絡(過電流)でも確実に遮断(トリップ)する
- 突入電流を理解し、不必要な遮断(ミストリップ)をしない
- 機械的要素がないため、電圧降下が小さい
弊社がご提案する電子式サーキットプロテクタ MICOについて
弊社で販売総代理店を行っているドイツMurrelektronik社の電子式サーキットプロテクタ『MICO』(ミコ、と呼びます)をご提案しています。
<MICOシリーズ>
MICOは、電磁式サーキットプロテクタと比べて3つの大きな違いがあり、それにより電磁式サーキットプロテクタのお悩みを解決できる製品となっております。
違いその① 動作原理の違い
電磁式サーキットプロテクタの動作原理は電磁力です。これは過電流によって電磁コイルに発生する磁力をもとにして遮断動作を引き起こすものです。
遮断速度は可動鉄心の動きを遅延オイルで遅くさせる機構なので、個体のバラツキもあります。
一方でMICOは電流値を内部で計測しています。
それにより定格電流値の何倍流れたら何秒で動作するということがより精密にコントロールできるようになり、電磁式サーキットプロテクタでは実現困難な遮断動作特性が可能になります。
違いその② 短絡に対しての遮断速度
定格電流値の190%以上でわずか20msの反応速度により、即座に遮断します。
短絡電流が小さくなりがちなケーブルが長尺の場合でも、問題なく即座に遮断できます。
違いその③ 突入電流について
MICOは回路を流れる電流を常時監視しており、過電流を検知した際に、内部のマイコンが突入電流なのか短絡なのかを区別できます。
短絡であれば即座に遮断し、突入電流であれば不必要な動作を起こしません。
前述の電磁式サーキットプロテクタの長所短所の表にMICOをまとめると以下の表のとおりになります。
MICOの豊富な付加価値
- 1つのハウジングに複数の系統(チャンネル)を搭載。分岐回路の構築が簡単
- 定格電流値をチャンネルごとに調整可能
- チャンネルのトリップ時、ほかの正常なチャンネルに影響を及ぼさない
- 過電流を確実に遮断
- 短絡電流が小さくなりがちな長尺のケーブルでも確実に遮断
- 遮断動作に周囲温度の影響を受けない
- 豊富な外部入力/出力機能
- 過負荷プリアラート
- 定格電流値の90%以上の電流負荷に達すると信号出力。負荷やケーブルの異常を事前に察知し予防検知
- 制御入力
- 外部からのトリガ信号入力により、任意のタイミングで負荷側への出力を制御(使用例:休憩時間に省エネのためDC負荷回路の電力遮断)
- 警報出力
- サーキットプロテクタがトリップ時にPLCに出力
- リモート復帰
- 外部信号入力により遠隔からトリップした分岐回路を復帰可能(使用例:無菌室など制御盤へのアクセスが制限されているケース)
MICOについてのラインナップや、新製品MICO Proの特長をまとめた資料もございます。
ぜひ以下のリンク先からご覧ください。
電子式サーキットプロテクタMICOのラインナップ資料はこちら
資料ダウンロードはこちら
新製品Mico Proの特徴をまとめた資料はこちら
資料ダウンロードはこちら
砂川 裕樹プロダクトマネージャー
Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。
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