ドイツでイノベーション賞を受賞! ケーブルドラッグチェーンの新シリーズ「EVOCHAIN」
2020/09/04
- Murrplastik
増田 将吾
いまドイツで話題のケーブルドラッグチェーン、いざ見参!
前回はドイツ・Murrplastik社の概要と、取り扱い製品の1つであるケーブルドラッグチェーンについて触れました。この製品は、産業用機械、工作機械、ロボットなどの可動部に接続されたケーブルやチューブを保護するためのアクセサリーです。
多くの産業分野で採用されていることは、前回のコラム(https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_131.html)でも説明したとおりです。同社の製品群は、欧州の自動車メーカーのプロジェクトブックにも掲載されており、お墨付きです。
さて今回は、新しいケーブルドラッグチェーンの新シリーズ「EVOCHAIN」のご紹介です。これはドイツの「German Innovation Award 2020」、Machines & Engineering部門のWINNERを獲得し、いま評判を呼んでいる製品です【★写真1】。
まずこちらの比較表をご覧ください。これは「EVOCHAIN」製品開発のコンセプトになります【★写真2】。
中・大型タイプのケーブルドラッグチェーン市場における各社製品比較です。Y軸が製品の堅牢性、X軸が作業性になります。赤丸が同社の従来のポジション、他の色が他社です。「EVOCHAIN」は、「?」のポジション、つまり堅牢かつ作業性の良い製品を目指して開発されました。
長距離、ハイスピード仕様の新シリーズ・EVOCHAIN
「EVOCHAIN」MP420の製品仕様になります【★写真3】。
従来の同位置付けのシリーズと比較して、速度・加速度・トラベル長とも大幅に改良されており、まさに進化したケーブルドラッグチェーンと呼ぶにふさわしい仕様となっています。
また注目すべき点として、「EVOCHAIN」はハイエンドの高価なラインナップではありません。従来シリーズと並列に位置付けられており、ハイスペックかつ手の届く製品としてご提供しています。
5つの新開発技術
少し余談ですが、皆さんは故スティーブ・ジョブズ氏が初めてiPhoneを世に披露した有名なプレゼンテーションをご存知でしょうか?筆者も目から鱗だったのですが、同氏は「3つの新開発を行いました。」と説明した後に「それら全てが一体となって1つのデバイスとしてリリースします。」ということでした。
今回の「EVOCHAIN」もそれを彷彿させるもので、5つの新開発技術を1つの製品としてリリースしています。それぞれについてご紹介していきます。全てが商標登録済みで、他社には真似のできない代物となっております【★写真4】。
3つのメンテナンス性の進化
「EVOLOCK」
筆者が最も推したい今回のアップデートの目玉です。メンテナンス時にドラッグチェーンをガイドチャネルから出さずに、そのままケーブル交換などの作業を容易にできる仕掛けになっています【★動画1】。
留め具とクロスバーが一体型になっています。
通常、ドラッグチェーンとガイドチャネルとの隙間(クリアランス)は、両側各2mm程度しかありません。従来品の場合、メンテナンス時には一度ドラッグチェーンを取り出す手間がありました【★写真5】が、今まで不可能だったドラッグチェーン背側のクロスバーを取り外すことも可能になりました【★写真6】。
Evren氏が実演。ガイドチャネルに収まったまま留め具を解除しメンテできる。
「EVORACK」
同社で定評のあるシェルフシステムがさらに進化しました。ケーブル構成によってフレキシブルな設計が可能という長所はそのままに、メンテナンス性を改良しドラッグチェーンの腹側・背側のどちらからも横仕切りを付け外し可能になりました【★写真7】。
こちらの新機構もドラッグチェーンがガイドチャネルに収まったままでのメンテナンス性向上を実現したもになっています【★動画2】。
「EVOCONTROL」
メンテナンス性がパワーアップしたグライディング・シュー。
前回コラムでご紹介したドラッグチェーンの腹側に装着し、摩耗の身代わりになってくれるグライディング・シューがさらに進化しました【★写真8】。
こちらも留め具(レッドボルト)と同様に交換・取り外しするためには一度ガイドチャネルからドラッグチェーンを取り出す必要がありましたが、それも不要になりました【★動画3】。
2つの振動・騒音の低減機構!
「EVOSHOX」
ダンピング・シューが新たな機構として追加されました。ドラッグチェーンの背側に装着し、ストロークの際のカタカタとした騒音や摩耗から守ってくれます【★写真9】。
従来はガイドチャネル側にダンピング・テープのような緩衝材をつけて対策していましたが、ドラッグチェーン本体に装着します。これによりガイドチャネルを使用しないセルフサポート型でもノイズ低減を図ることができるようになりました【★動画4】。
「EVOSILENCE」
ドラッグチェーン本体の中を開けてみると、リンク同士の回転部にサイレンサーとなる白い吸収体が埋め込まれていることがわかります【★写真10】【★動画5】。
これにより、ストローク時に本体が曲がるときに発する「カチカチ」という音を低減してくれます【★写真11】。
速報!MP570をリリース予定!
現時点では「EVOCHAIN」は中型サイズのMP420のみしかありません。しかし、近日中にラインナップの拡充が発表されており、大型サイズにあたるMP570をリリース予定です。
弊社でもサンプルを入手でき次第、皆さんにご披露させて頂こうと思っていますので、乞うご期待ください!
増田 将吾プロダクトマネージャー
主にMurrplastikやBinderを担当しています。
ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。
週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。
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