【連載1】いかにして正しいケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所
2016/12/05
- LAPP
●まずはケーブルの大分類から~電源用、それとも制御やデータ用?
一口に工業用ケーブルを選定するといっても、いろいろな仕様のケーブルの中から、様々な用途や環境条件に適したものを、どのようにして選ぶか悩むと思います? このコラムでは、「いかにして最適のケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所」についてご説明していきます。
弊社は、工業用ケーブルやケーブルアクセサリーなどを提供する世界的な企業、独・Lapp Groupの日本販売代理店として、高性能で高品質な製品を数多く取り扱っています。Lapp Groupは、機械・システム工学、自動車業界、電気・設備工学、EDCなど、さまざまな業界や市場に最適なケーブルや関連部材を生産しています。
同社のブランドである「オイルフレックス」は、ヨーロッパをはじめ、世界各国で高い評価を得ている工業用ケーブルです。もしかすると、一度はどこかで名前をお聞きになったことがあるかもしれませんね。オイルフレックスは、CEマーキングのほか、UL、HAR、CSAなど、各国の規格に適合しており、多くのテストで認証を受けていますから、世界中でご利用いただけます。
さて、ここからはLapp Groupのオイルフレックスについて、ご紹介していきましょう。当然のことですが、まずケーブルを採用する際には、どんな用途に使うのかという点を明確にしておく必要があります。ケーブルを大きく分類すると、電気機器や装置用の給電・配電を行う「動力・電源ケーブル」、計装や測定・制御に利用する「制御ケーブル」、データ転送を主とする「データケーブル」に分けられます。
まずケーブルをどんな用途に利用するのか、明確にしておきましょう。電源用と制御用、データ転送用では、性質も太さも大きく異なります。
このような用途が決まったうえで、設置要素や周囲環境、EMC、引火性、認証マークなど、自社の製品や設備にマッチしたケーブルを選んでいきます。たとえば、設置要素では「固定して使うのか?」「可動を伴うのか?」「もし可動を伴う場合は、時折動作なのか、あるいは常時動作なのか?」「ねじれ動作を伴うのか?」といった条件を検討していきます。
●ケーブルの設置環境と周囲環境を理解し、製品にアタリをつける
周囲環境もケーブル選定上で重要な要素になります。ケーブルは長期にわたり使われるものですから、耐久性や安全性が求められます。環境によっては、ケーブルにオイルや薬品がかかったり、高温/低温・乾燥/湿気のある場所で利用したり、紫外線(UV)を浴びたり、引張応力や摩擦などの機械的な負荷がかかるケースもあります。このような場合でも使えるように、耐久性に優れ、断線がなく、安心して導入できるものでなければいけません。
また環境面の配慮からハロゲンフリーのケーブルがあることも頭に入れておきましょう。フッ素(F)、塩素(CL)、臭素(Br)といった元素が外被に含まれると、ケーブルが燃えたときに有毒なガスを発生し、人体に被害を及ぼしたり、環境汚染を引き起こします。オフィスや工場だけでなく、公共施設で使う場合は、特にハロゲンフリーの配慮が求められます。
ハロゲンフリーに関連してくるのは、ケーブルの難燃性です。実はハロゲン含有量が多いほど、ケーブルの燃焼伝播性が低くなり、逆に含有量が少ないほどケーブルの燃焼伝播性が高くなる関係があります。つまりケーブルを燃えにくくするためには、ハロゲンを含める必要があるのですが、有害性も高くなってしまうのです。そのため両者のバランスをどのように取っていくのかという点もメーカー側の課題になるわけです。これはお客様にとっても、ケーブルを選ぶ際に注意したい勘所の1つでしょう。
このほかにも、外部にさらして使う屋外用途のケーブルでは、耐天候性に優れたケーブルが求められます。太陽光に当たっても劣化しない耐UV性や、雨や雪に強い耐加水分解性、温度変化に対応できる耐熱性も重要な要素です。
さらにノイズの影響を考慮しなければならないケースもあります。特に制御ケーブルやデータケーブルを使用する際には注意が必要です。工場内に設置したモータなどの動力・電源ケーブルがつくる電磁界が悪影響を及ぼし、ノイズを発生する可能性があるからです。そのめために「EMC(Electro-Magnetic Compatibility)対策」を施した、ノイズに強いシールドケーブルを使います。
このように、ざっと見ただけでもケーブル選びには、いくつもの複雑な要素が絡み合ってくることを御理解いただけたのではないでしょうか。次回からは、最適なオイルフレックスを選ぶためのノウハウについて、用途やケーブルの特性面から詳細にご説明していきたいと思います。
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