【連載1】いかにして正しいケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所

2025/04/11

  • LAPP

ケーメックスAT テックプラス編集部

【目次】
ケーブルの選定で気を付けること
ケーブルの使用用途
ケーブルの設置環境
・設置環境で注意すべきこと
・屋外使用の場合に求められる性質
ノイズの影響
・EMC対策とは

ケーブルの選定で気を付けること

弊社は、工業用ケーブルやケーブルアクセサリーなどを提供する世界的な企業、独・Lapp Groupの日本販売代理店として、高性能で高品質な製品を数多く取り扱っています。各種の機械設備、自動車産業、測定・制御技術、データ処理など幅広い分野で使用されています。
たくさんのケーブルの中から最適な製品を選定するために考慮しなければならないことは、
①使用用途
②設置環境
③ノイズの影響
この3つが挙げられます。
では、この3つのポイントがケーブルの選定にどう関わっているのかについて詳しく解説していきます。

ケーブルの使用用途

さて、ここからはLapp GroupのOLFLEXについて、ご紹介していきましょう。
1つ目の使用用途について、どのようにケーブルを使用するのかが選定に重要なポイントの1つです。
ケーブルを大きく分類すると、電気機器や装置用の給電・配電を行う「動力・電源ケーブル」、計装や測定・制御に利用する「制御ケーブル」、データ転送を主とする「データケーブル」に分けられます。

使用用途が決まれば、自社の製品や設備に適したケーブルを選択します。
例えば、ケーブルを使用する際、「固定して使用するのか」「可動を伴うのか」「もし可動を伴う場合は、時折動作なのか、あるいは常時動作なのか」「ねじれ動作を伴うのか」といった条件を検討していきます。

ケーブルの設置環境

2つ目の設置環境も、ケーブルを選定する上で重要な要素になります。
ケーブルを使用する環境で、オイルや薬品がかかったり、高温/低温・乾燥/湿気のある場所で利用したり、紫外線(UV)を浴びたり、引張応力や摩擦などの機械的な負荷がかかるケースがあります。このような場合でも使えるように、耐久性に優れ、断線がなく、安心して導入できるものでなければいけません。
OLFLEXシリーズの特性として、屋外/屋内・耐熱/耐寒といった耐環境性が優れているため上記の環境下でも安心してご使用いただけます。
また、OLFLEXシリーズはCEマーキングのほか、UL、HAR、CSAなど、各国の規格に適合しており、多くのテストで認証を受けておりますので、世界中でご利用いただけます。

設置環境で注意すべきこと

さらに、設置環境で注意すべきことがあります。
それは、フッ素(F)、塩素(CL)、臭素(Br)といった元素が外皮に含まれると、ケーブルが燃えたときに有毒なガスを発生し、人体に被害を及ぼしたり、環境汚染を引き起こします。オフィスや工場だけでなく、交通機関や病院などの公共施設で使う場合は、特にハロゲンフリーの配慮が求められます。
ポリ塩化ビニル(PVC)、クロロプレンゴム(CR)、テフロン(PTFE)が外皮の材質だった場合は注意する必要があります。
ハロゲンフリーケーブルの材質は、シリコンゴム、ポリウレタン(PUR)、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー(TPE)、エチレンプロピレンジエンゴムなどでできており、それぞれ電気絶縁性があったり火災時の有毒ガスを発生しにくく、環境に配慮した材質です。

屋外使用の場合に求められる性質

OLFLEXシリーズ製品の中には、屋外使用可能なものがあります。
屋外でケーブルを使用する場合、過酷な外部環境に耐える性質が求められます。
そのため、耐候性、耐水性、耐紫外線性、耐寒性、耐熱性、さらには耐摩耗性など設置環境に適した耐性があるか確認したうえで、設置環境に適した耐性があるケーブルを選ぶ必要があります。
例えば、耐紫外線のケーブルは、長期間日光にさらされても、外部のシースが劣化しにくくなっています。耐寒性のケーブルは、低温でも柔軟性を保ち、割れたり脆くなったりしないケーブルが必要なので、ゴムやエラストマーを使用したケーブルがよく使用されます。

上図下線部「屋外で使用可能」や「耐候性」などが記載されているか確認する必要がある。

ノイズの影響

3つ目のノイズの影響を考慮しなければならないケースもあります。特に制御ケーブルやデータケーブルを使用する際には注意が必要です。工場内に設置したモータなどの動力・電源ケーブルがつくる電磁界が悪影響を及ぼし、ノイズを発生する可能性があるからです。ノイズがケーブルに干渉すると、信号が歪んだり、誤動作を引き起こしたりする可能性があります。そのために「EMC対策」を施した、ノイズに強い"シールドケーブル"を使います。また、信号線を対になった2本のケーブルをねじった形で配置することで、外部からの干渉を減らすことができる"ツイストペアケーブル"もノイズの影響を軽減できます。

↑OLFLEX CLASSIC 100 CY

EMC対策とは

EMC(Electromagnetic Compatibility)対策とは、電子機器や電気機器が電磁波を適切に制御し、他の機器との干渉を防ぐための対策を指します。EMCは、電子機器が動作中に発生する電磁波が他の機器に悪影響を及ぼすことを防ぎ、また他の機器からの電磁波の影響を受けずに正常に動作できるようにすることを目的としています。
EMC対策は、特に高精度な電子機器や通信機器、医療機器など、他の機器と干渉すると重大な問題を引き起こす可能性がある場合に重要です。また、EMC基準や規格に準拠することが法律や規制で求められる場合もあります。
また、サーボアンプ、インバーターでは高周波のPWM制御を行っており、ノイズの発生源となりますので、EMC対策を講じたケーブル=シールドケーブルを選定する必要があります。
サーボアンプ、インバーターのPWM制御の動作原理については、こちらの記事をご参照ください。
https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_113.html#h_3546852686881739174222905


このように、ざっと見ただけでもケーブルの選定には、使用用途や使用環境等いくつもの複雑な要素が絡み合ってくることを御理解いただけたのではないでしょうか。次回からは、最適なオイルフレックスを選ぶためのノウハウについて、用途やケーブルの特性面から詳細にご説明していきたいと思います。

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