【連載8】いかにして正しいケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所
2017/07/03
- LAPP
多彩な海外規格に対応するLAPPのケーブル製品
あまり触れてきませんでしたが、LAPP社のケーブルは、さまざまな海外規格に対応する製品を取り揃えています。今回から複数回にわたり、ケーブルの海外規格について掘り下げていきたいと思います。
海外に製品を輸出する場合には、工業製品の品質に対する基準として、これらの規格に準拠しなければならないことがありますので、特に注意が必要です。LAPP製品は多彩な海外規格に対応していることが大きな強みです。
それでは今回のテーマの前ふりということで、実際にどのような規格があるのか、ざっと見渡してみましょう。ここでは下記のような規格を中心にご紹介します【★写真1】(★印が図中のもの)。
さまざまな海外規格に対応する製品を取り揃えている点がLAPP社のケーブルの大きな特徴のひとつです。海外に製品を輸出する場合には、国ごとの規格に対応しなければならないため、特に注意が必要です。
★ISO(International Organization for Standardization)
国際標準の規格を策定するための非政府組織として、みなさんにお馴染みのISOです。世界最大のボランタリーな開発組織として、国家間に共通となる標準を策定し、世界の貿易を促進する役割をもっています。約2万の規格には、工業製品から食品安全、農業、医療まで、あらゆる分野がカバーされています。
★CEマーキング指令(Conformity European)
欧州EC指令で規定された、必須安全要求事項に適合した製品につけられるマーキングです。関連する各指令の要求事項を満足する必要があります。また指令に記載されていない一般仕様については、EN規格(欧州規格)に適合することが求められます。
●EN規格(European Norm)
前出の欧州規格(EU統一規格)のことです。ECの官報で公表されていることが適用条件になります。EN規格に適合すれば、EC指令の必須安全要求事項を満足していると判断されます。
★IEC(International Electrotechnical Commission)
電気・電子工学や関連した技術を扱う国際電気標準会議による規格群です。国際規格作成のための規則群、規格適合、IT技術などの一部は、冒頭のISOと共同開発することもあります。またEN規格の適合がない場合には、IECへの適合が求められることがあります。
★UL規格(UNDERWRITERS LABORATORIES INC.)
ULは、米国の火災保険業者の団体によって設立された非営利試験機関が定めたものです。材料・部品・装置・道具類から最終製品まで、日常生活用品、商工業用品などの分野にわたり、製品の安全基準を定めています。合格製品は、ULが定める分類ごとに認定品として公表されます。米国では州法、都市の条例などによって、UL認定品の使用を強制されるケースが多いようです。
★HAR(ハーモナイズド・ケーブル)
CENELEC(欧州電気標準化委員会)のケーブル規格。一般的な単芯や多芯電線に関する各種試験、仕様、製品名、表示方法などを規定しています。たとえば、欧州では機械用電線の単芯として、H05V-K・H07V-Kなどのハーモナイズ・ケーブルが一般的に使用されます。一方、多芯電線のほうは品種が少なく、ハーモナイズ・ケーブル以外の多芯電線(VDE規格準拠品など)が、電力供給・制御回路・ロボット用などの目的別に選定されます。
●CSA(CANADIAN STANDARDS ASSOCIATION)
非営利の標準化団体として設立されやカナダ規格協会が、同国で使用される工業製品の規格制定や、電気製品の安全試験を実施しています。カナダ国内のほとんどの州がCSA証明のある電気製品の販売を求めているため、カナダへ輸出する電気製品はCSAマークが必須です。ただし、外径の細い電線など、印刷できない製品の場合にはCSAと表示されます。
★DNV GL(DNV GL AS)
世界に50以上の船級協会が存在し、船舶や海上構造物に応じて、構造・設計の健全性が判定されます。船級基準は、安定性・安全性・環境への影響が許容範囲に収まることを保証するように規定されています。なお2013年にノルウェーのDNV(Det Norske Veritas)とドイツロイド船級協会のGL(Germanischer Lloyd)が統合され、DNV GL船級協会となりました。日本にはNK規格(日本海事協会)があり、船用材料・機器などの承認や認定を実施しています。
★DIN(Deutsches Institut fur Normung)
ドイツ技術検査協会が制定した規格です。38万件超の規格が制定されており、ドイツ国内のみならず、国際的に広く参照されている規格なので、ご存知の方も多いでしょう。
★VDE規格(VERBAND DEUTSCHER ELECTROTECHNISCHER)
ドイツ電気技術者連合が主体となって設立した電気・電子及情報技術協会が、試験所で電気製品の安全性試験と承認を行っています。
★TUV(Technischer Uberwachungs-Verein)
ドイツ技術検査協会の規格です。工業機器・設備の検査のほかに、電気製品についても政府に委任され、上記のVDE規格に基づいて検査と認定の業務を実施している。
●CCC強制認証マーク(China Compulsory Certification)
中国のWTO加盟に伴ない、部分的に実施されている規格。中国国家質量監督検験検疫総局と、中国国家認証認可監督管理委員会により、運用・認可されています。2003年から強制認証マーク未取得の製品は、中国への輸入・販売が禁止されています。なお装置に組み込まれた部品については、部品ごとのCCC認証は不要とされています。
●JIS(Japanese Industrial Standard)
みなさんがご存知の日本工業規格です。基本的にはIEC規格に則っていますが、実際に日本独自の規格も取り入れられており、いろいろな相違点があるため注意が必要です。
このほかにも多くの規格がありますが、ここでは主なものだけの紹介にとどめさせていただきました。次回は、これらの規格から、特に重要なUL規格に関して少し詳しく見ていきましょう。あわせて具体的なLAPP製品もご紹介する予定です。
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