【連載9】いかにして正しいケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所
2017/07/31
- LAPP
なぜ海外製品を輸出する際に、ケーブルのUL規格が重要なのか?
前回は、多彩な海外規格に対応するLAPPケーブルの主な規格について、ざっと俯瞰しました。さらに今回は、これらのなかで特に重要な「UL」(UNDERWRITERS LABORATORIES INC.)規格に関して詳しく見ていきましょう。
復習になりますが、ULは非営利試験機関(米国の火災保険業者の団体)が定めたものですが、米国で最も知名度があり、安全性のお墨付きがもらえる規格なのです。ULに合格した製品は、ULが定める分類ごとに認定品として公表されます。
ULは、米国の「ANSI」(American National Standards Institute:米国国家規格協会)で認められており、州法や都市条例などから、UL認定品の使用が順守されるケースも多いのです。もしUL規格にパスしていなければ、海外から製品を輸出する際に大きな障壁となります。そのため、UL規格の認定が輸出品にとって大変重要になるわけです。
UL規格を取得した「ULマーク」の製品は、米国内で販売をスムーズにするものですから、必ず押さえてください。
なおカナダ国内の安全性規格として「CSA」(Canadian Standards Association)もあります。ULには、カナダ向け製品に対して試験や認証などの業務を行うことで認定される「cULマーク」もあります。CSAとの違いは、認証機関がULになることです。どちらもCSA規格に従って試験が行われています。
さて、ここからはUL認証サービスの種類について触れたいと思います。具体的にどんな種類があるのか、ひとつずつ見ていきましょう。現在のUL認証には「リスティング」「コンポーネント・レコグニション」「クラシフィケーション」という3種類があります。
■リスティング・マーク【★写真1】
一般的に最終製品に対して付けられるマークです。その製品サンプルが、UL安全規格に基づいた試験を受け、ULの要求事項を満たしている場合に使用が許可されるものです。
【★写真1】一般的なリスティングマーク(左)。 カナダ向けのc-ULリスティングマーク(中)と、米国/カナダ用のリスティングマーク(右)もある。
■レコグナイズド・コンポーネント・マーク【★写真2】
単体では機能しない、あるいは機能が制限されているコンポーネント(部品・材料)に対するUL認証マークです。コンポーネントは、前出のようなULリステッド製品に使用されますが、電源やモータなどの別部品にも使用されることもあります。
もちろんコンポーネントにはケーブルもありますし、プラスチックやプリント配線板など、多岐にわたる部品・材料が対象になっています。これらのレコグナイズド・コンポーネントは、Conditions of Acceptability(部品使用許可条件)が定められ、この条件を考慮して最終製品に組み込まなければなりません。ただし、レコグナイズド・コンポーネント部品のみで製造された製品が、必ずしもリスティング認証を受けられるわけではないことも頭に入れておきましょう。
【★写真2】一般的なレコグナイズド・コンポーネント・マーク(左)。カナダ用レコグナイズド・コンポーネント・マーク(中)。米国/カナダ用レコグナイズド・コンポーネント・マーク(右)。
■クラシフィケーション・マーク【★写真3】
製品固有の性質を検査し、特定条件下での使用が可能か、あるいは予測される事故に耐えうるかを評価し、認証されたことを示すマークです。このサービスは、医療機器や工業用器具、防火機器などが主な対象になります。
たとえば「特定の危険」(火災、感電、傷害など)、「規定された条件下の性能」「UL規格以外の規制」「国際規格など、UL以外の規格」「その他のULが望ましいと考える条件」のうち、1つ以上の条件について評価し、適合性が認められた場合に、クラシフィケーション・マークの使用が許可されます。
【★写真3】一般的なクラシフィケーション・マーク(左)。C-ULクラシフィケーション・マーク(中)、C-UL USクラシフィケーション・マーク(右)。
ここまでUL規格に関する一般的なトピックスを中心に、大前提となる話をさせていただきました。次回は、いよいよUL規格に対応する主なケーブルの種類(AWM、MTW、トレイケーブル)や、LAPP製品とULとの対応関係、選定時の注意について説明したいと思います。次回もお楽しみに!
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